俺様上司と身代わり恋愛!?
「あっ、すみません。課長にとっては迷惑極まりないですよね」
私は楽しいけど、課長は仕事が忙しいのに休みの日まで部下と会わなくちゃだし、しかもご飯は奢りだし。
その上、恋愛相談まで持ちかけられて一昨日なんて電話で十五分間、一方的に、ただデートに無事誘えたって話をされたわけだし。
考えてみればマイナス要素ばかりだ。
私は頼ってる側だから楽しいかもしれないけれど、休みの日まで部下に頼られる側の課長は、肩の荷が下りず休めていないのかもしれない。
そう思い謝ると、課長は「いや、そういうわけじゃない」とバツが悪そうな表情で私を見てから、視線を前に移す。
「俺も、こうして話してて退屈してるわけじゃないから」
少しムスッとしても見える横顔と発せられた言葉がチグハグだったから、「そうですか……?」と聞き返してみたけれど。
課長はそのまま黙ってしまい答えてはくれなかった。
よく見れば、照れても見えるし……そういう事なんだろうか。
……だとしたらなんか可愛いな。
女好き発言なんて聞いちゃったから、女なんて日替わりで、甘い言葉なんて呼吸も同然かと思ってたのに。
考えてたイメージとだいぶ違う。
一体、いつまでムスッとしているつもりだろうと思い観察していたくもなったものの、それもちょっと可哀想かなと思って我慢する事にする。
黙って前を向いて歩き、ひとつめの角を曲がると、目の前に海が広がった。
じわじわとテンションが上がる自分に気づき、海を見てわくわくするのは一体何歳まで続くのだろうと不思議になる。
でも、隣を見ても、さっきまでのムスッとした顔はもうなかったから、きっと三十歳まではテンションを上げても許されるんだろうなと思って少し笑う。
そのまま歩いて海に一番近い場所まで行き、足を止めた。