俺様上司と身代わり恋愛!?


「美絵って普段こういうお店で食べてるの?」
「んー、いつもじゃないけど、たまにね。でも私もずいぶん来てなかったから、久しぶりにここの料理食べたくなってそれで。
あ、これおいしいからこれにしなよ。クリーム系、大丈夫だったよね?」
「うん……任せる」

美絵は、メニューなんてほとんど見ずに軽く手を上げて店員さんを呼ぶと、難しそうなカタカナが並んだメニュー名を次々に口にし、パタンとメニューを閉じ店員さんに差し出す。

キレイに染めたブラウンの髪はボブというよりもショートと言った方が正しい短さで、大学の頃からちっとも変わらない。

白くて、全体的に華奢すぎるほどに細いから会うたび心配になるけれど、そんな身体つきに反して私の倍は食べるので、そこも心配になるのは毎回の事だ。

Tシャツに膝よりも少し上の丈のハーフパンツ。それに、ジャケットというラフな格好だけど様になるどころか上品に見えるのは、やっぱり育ちがいいからだと思う。

それに、顔だって可愛いし。
大きな二重の瞳とスッとした高い鼻に、表情豊かな口元。

にっこりと微笑まれると未だにいちいち可愛いなぁと思ってしまうほどの容姿なのに、二次元にしか興味がないっていうんだから勿体ない。

会釈してテーブルを離れていく店員さんをぼんやりと眺めていると、「昨日はありがとね」と美絵が困り顔で微笑む。


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