夜の図書室で
「変なの。生きていたときもこんな話し方だったのかな? あたし、どういう性格だったんだろう。わざとらしいね」


 ナナちゃんは、生きていたときの自分の性格も思いだせないのか、とかわいそうになったが、違う、そこじゃない。


「わざとらしいね」。なんとなく、本来の自分とは、いまの自分が違うような気がしたのか?


「おぼえてないんだけど、でも、んー……。友達欲しかったのかな。キャラつくってたとか? だとしたら、イタいね」


 そう言ってナナちゃんは、「演技してたのかなー。あー、思いだせなーい」と僕ではない誰かに言っているような言い方で、笑っていた。つくっていない笑顔で。


 いい笑顔だった。すでに終わったことなんだから、これ以上、さらに考えなくてもいいよ、とでも言わんばかりに。
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