夜の図書室で
「お願いやめて」


 僕はわざと、原稿用紙を読もうとした。


「いや。ちょっと」


 ナナちゃんが、頭を左右に素早く振った。


 僕はおかまいなしで、原稿用紙を見る。


「やめてって言ってるでしょ!」


 ズキィッ! と、急に首の後ろに激痛が走った。


「痛ぁっ!」


 原稿用紙を落としそうになり、机の上に置いた。


 右手で痛くなった部分をおさえていると、痛みはその一回で終わった。太い針で刺されたような激痛だった。


 ナナちゃん、君がやったな。


「それ、置いて帰って。あとで見てみるから」


 ピストル持った女の子が目の前にいる。緊張感と恐怖心を僕なりに表現するなら、ナナちゃんの幽霊としての危険度はピストルと同レベルだ。


「でも、こんなとこに置いて帰ったら、ほかの人が見ると思うよ」


 うう、とナナちゃんは苦しそうな顔をした。心底、見られたくないらしい。
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