にゃおん、と鳴いてみよう
お別れ

 それから、またミネちゃんの部屋での生活が始まる。


「ただいまー」

「にゃおーん」


おかえりなさい。

あたしは玄関前までお出迎え。
声が出るってやっぱりいいな。ミネちゃんとお話してる気分で嬉しい。

あったかいお布団もおいしいご飯ももらえて、ミネちゃんっていう優しい友達ができた。
ママ、あたしとっても幸せよ?

あとは、ママに会えればなぁ。そうしたら完璧なのに。


 ミネちゃんがテレビを見ている間、あたしは窓から外を眺めていた。
今日は曇り空だから、お月さま見えないかぁ。
諦めて部屋の中に視線を動かすと、テーブルに突っ伏してうたた寝してるミネちゃんを発見。


「にゃーにゃーにゃー」


起きてよ。ミネちゃん風邪ひくよ。


「んー……。おはよ、モカちゃん。あー朝じゃないか。まだ夜かぁ」

「みゃおん」


お風呂入ってお布団で寝なよ、ミネちゃん。


「分かったよー。シャワー浴びてくる」

「みゃー」


立ち上がったミネちゃんは、ふと思い立ったようにあたしに両手を伸ばしてくる。


「そうだ。モカちゃんも洗ってあげようか」

「しゃー!」


嫌よう。あたし、濡れるのキライ。
もう寝るんだから、放っておいて。

プイってそっぽを向いて自分の寝床に向かう。

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