だから、俺にしとけよ。




学校に近づいてくる。


人がだんだん増えてきてまわりがざわざわしだす。



俺は普通のトーンで、いつもの他愛もない話をするような感じで言ったんだ。




「伊都、別れようか」


「……え?」



俺の言葉にワンテンポ遅れて反応がやってくる。


伊都が立ち止まったせいで、前に進めなくなる。




「何してんだよ。
遅刻するだろ」



だけど、伊都は目を見開いて俺をじっと見つめる。


固まってしまった伊都を引っ張って、無理やり足を動かさせる。




「今、なんて……」


「別れようって言った」


「どうして……」




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