だから、俺にしとけよ。
何で伊都がそんな顔すんだよ。
俺だって言いたくない。
でも、伊都は俺を見ていないってわかるから。
「他に好きなやついるんだろ?」
「っ……」
「ずっと伊都と一緒にいたから分かる」
分かりたくなくても分かっちゃうんだよ。
ずっと伊都といた。
今は特に伊都をずっと見てるから。
こんなの気づかなければ良かったのにって思う。
「もう、無理して俺と付き合わなくていいから」
「無理なんかしてない!」
急に大きな声を出した伊都に、周りがこちらに注目する。
人見知りで注目されるのが苦手な伊都が、周りに目もくれず俺を真っ直ぐに見る。