白い悪夢
「彩美〜!早く〜!」

待ち合わせしていた十字路の右端に親友の美由紀はいた

長いストレートの髪に小さな顔におっとりとした瞳、気品があってなんとなく印象はお嬢様と言う感じ
しかし本人の性格はとても活発、私と同じくらいと言っていいほど

私達は同じテニス部、よく二人で組んでは練習する仲
私達が組んでからダブルスでは負けたことがない、美由紀のフォローが上手いのが勝因だ

「昨日よりけっこう遅いよ、大丈夫?」

そしてかなりの世話好き

「ううん、大丈夫」

あんな夢のことなんて話せない、話したら多分不気味がられるから

心の恐怖を閉じ込め、表情は明るく振る舞った
はずなのだが…

「……なんか隠してる」

「え?」

「なんか隠してるでしょ」

美由紀は物凄い勘の持ち主

なんか美由紀って特徴ありすぎ……

「いやいや、なんにも隠してないって!」

笑いながら手を振り上げ話を終わらせようとした

「あ、そういえば昨日の月9面白…」
「話を反らさないで!」

あぁ…またこれだ…
何か隠し事がばれると何が何でも吐かせようとする
それが美由紀

「いい?ちゃんと言って、お願い」

うぅ…頼まれるのに非常に弱い私はこれで吐くことになってしまった

美由紀は強引すぎる…
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