未熟女でも大人になっていいですか?
山間の道を抜けると田園風景が広がった。

道路の端以外には、目立った家屋も見当たらない町の中を走り抜ける。




「………着いたぞ」


カチッ!とウインカーが点けられて停まる。

車が横付けされたのは洋風な感じがする店の前。

 
クリーム色の壁に緑色の屋根が乗っている。

窓枠は深い色をした焦げ茶で、玄関の脇に『木立ち』と書かれた木製の立て看板が置かれてあった。



「こんな場所に店なんか建てやがって……」


高島は呆れながら車外へと降りる。

アメリカンスタイル風のカフェは日曜の昼時にも関わらず、駐車場は満車状態に近かった。



「忙しいんじゃない?大丈夫なの?」


「向こうがいいって言ったんだから気にするな」


あんたは気にならないだろう。


(でも、こっちはすっごく気になる!!)


さっさと歩き出す背中を追う。

ドキドキしながらチョコレート色に塗られたドアの前に立ち並んだ。



「開けるぞ」

「う、うん…」


(何を言われても印象良くしておこう)


心に誓って前に進んだ。

この一歩から、また新しい未来が広がっていく。



< 114 / 208 >

この作品をシェア

pagetop