未熟女でも大人になっていいですか?
「嘘だろう」


冷たい声が返ってくる。

体は私から離れ、高島は後ろへと下がった。


「カツラは俺のことが信用できてないんだ」


言い切られた言葉は不正確だと思う。


でも、それを違うとも言い出せない。



「望さん、私は……」


貴方のことが好きで、心の奥底から信頼している。

本当は直ぐにでも貴方のものになって、自分は特別な女なんだと信じたい。


でも、下らないプライドが邪魔をしている。

納得ができないうちに抱かれるのは嫌だと、心が強く拒否している。



言い出したい言葉はどんなにあっても口先までは出てこない。

むしろ、どんどん奥に放り込まれた。



「…………」


何も言えずに泣きながら彼を見た。

高島は呆れながら浴衣を直し、前髪を手で握った。



「今夜はやっぱりナシにしよう」


(私が子供過ぎるから……?)



言い出せない。何も。

だって、高島の顔が真剣に怒っている。



「ごめんね……」


謝るんじゃない。

抱いて欲しいと言うんだ、ここは。



「あーあ」


不貞腐れながらベッドに寝転んだ。

ゴロンと寝返りを打ち、掌でシーツを撫でている。




「カツラ……」


「な…何……」


鼻をグズつかせながら返事をした。

ベッドにうつ伏せたままの状態で、高島はこんなことを言った。


「俺の思う通りにならない女はこれまで1人だっていなかった。多分、お前が初めてだと思う」


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