未熟女でも大人になっていいですか？
打ち震えた心音を確かめる様に顔を覗き込んだ。

高島の目から怒りの色は抜け落ちている。



「さっきの続きを話そう」


さっきの…と言われ、神社で聞きかけた話を思い出した。


ごくん…と生唾を呑み込み、溢れた涙を拭き取って、きちんと床に正座した。



「うん。話して」


覚悟を決めよう。

そして、ここからまた変わればいい。




「…あのな、俺が専門学校を中退した理由から教える」


長い話になりそうだな…と感じた。

彷徨う目線を追いかけながら口を挟まずじっと聞こうと思った。





「人間には向き不向きがあると思わねぇか？」


いきなりの質問形式に呆れた。


「思うわよ」


私は完全に文系人間だ。

理数系の問題なんて、どんなに頑張ったところで理解はできない。


「高校時代の俺は、ある意味その不向きなものに挑戦することを常としてた。自分の限界を知りたい…とかバカみたいな妄想を燃やして、その結果、向いてもいない公務員専門学校を選択したんだ」


「公務員！？望さんが！？」


呆れる…と言いかけて押し黙った。

私の言いたかった言葉が理解できたのか、高島の表情が和らぐ。


「今、絶対に変だと思ったな」


「い、いえ。それ程までは」


「嘘をつくな。カツラの考えてることぐらい分かる」


「うっ……」


単純すぎると言われている様な気がした。

高島は「図星だろう」と笑い、「当然だよな」と続けた。


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