短編集「見かけ倒し。」
みよ「認識してるではないですか。」

斎藤「結論から申し上げよう。この挑戦は、いささか、無謀だと言わねばならない。」

みよ「分かってましたよ、最初から」

斎藤「なに。じゃあ言えよ。人でなし。」

みよ「人でなし。ってなんですか。ひどいな。だから、結婚できないんだよ。」

斎藤「そういうことを言いますか。」

みよ「言いますよ、わたくしは。」

斎藤「どの立場でものを言うんだよ。」

みよ「三階。」

斎藤「は?」

みよ「ここが二階ならば、わたしはすべてを凌駕する三階に位置したい。」

斎藤「うるさいんだよ。つい最近まで彼女が居たんだ。これからだって、すぐ出来る。」

みよ「大した自信ですね。」

斎藤「強がりだ。」

みよ「正直は、大事なことですよ。犬が味方してくれますからね。」

斎藤「出来れば、女性に味方して貰いたい。」

みよ「先生、わたし考えたンですけど。」

斎藤「なんだよ。」

みよ「12人いっぺんにださなくても。」

斎藤「おい俺になにかアイデアを提供しようってのか。立場を弁えろ。」

みよ「ホンット先生みたいなクズ野郎の側には、お仕えしたくはございませんわ。」

斎藤「ごめん。聞くだけ聞くわ。コラボの時代だからな。」

みよ「先生って、根性、芯の芯まで、腐りきってらっしゃるんですね。」

斎藤「僕も最近、すごくそれ思う。けど、俺にとって大事なのは、」

みよ「如何にしたら、12人ものが描けるかを模索すること。でしょ。」

斎藤「ご名答。」

みよ「伊達に、先生に、仕えてはございませんわ。」

斎藤「じゃあ、やらせてくれ。」

みよ「なんでそうなるんだよ。」

斎藤「いいだろ。」

みよ「最低ですね。」

斎藤「ちょっと、それ、逆にゾクゾクする。」

みよ「マジ死ねって感じですね。」



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