好きだけど、近づかないでくださいっ!
信頼できる部下。私はそんな立派なものじゃない。何も出来ないし、ここに来たのだって完全なお荷物だ。

「私は、何も・・・」

「あいつ、ちゃんと飯とか食ってんのかな?また、痩せた気しねえか?こないだ美味い丼の店、連れてってやったのにな」

私、課長のこと何も知らない。部下とうまくいってないなんて初めて聞いた。

ご飯もちゃんと食べているかなんて知らない。

「戸松、何やってんだ。早く行くぞ」

出入り口から大声で名前を呼ばれ、工場長に会釈だけして課長に駆け寄る。

幸い、まだ脳は課長を課長と認識していない。

だから、今しかない。
今度は自分で助手席に乗り込んでシートベルトを締めた。


「とりあえず、お前を先に下ろすわ。家、どこだ?」


「私も行きます」


「はあ?何、言ってんだ。隣県だぞ。今から行って帰ってきたら何時になるかわかんねえぞ。いいから」


「いいんです。どうせ、特に予定があるわけでもないし、同行させてください」
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