好きだけど、近づかないでくださいっ!
「・・・別に気にするようなことでもねえよ。でも、まあお前が話すなら俺も話してもいいぜ」

「話す?何をですか?」

「決まってんだろ?お前が俺を避けることだよ。お前が話すなら俺も話す」

「そ、それは・・・」

スキサケを話すなんて、まさに告白しているようなもの。そんなこっ恥ずかしいこと無理だ。

でも、このまま課長のことをうやむやにするのも嫌。


「・・・正直さ、急に態度変えられるのって結構傷つくもんなんだぜ」


さっきから課長はずっと運転しながら前を向いて淡々と話しているけれど、時おりその声に切なさを感じてしまう。

特に今の声は、今にも泣き出しそうに聞こえなくもない。

「わ、わかりました。ちゃんと話します。だから課長も話してください」

「わかったよ。じゃあとっとと運ぶぞ。今日は、飯付き合え」

「はい。美味しいご飯食べましょう」

そう言った私にクスッと笑った課長の横顔は、心なしかホッとしたような表情に見えた。
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