好きだけど、近づかないでくださいっ!
「本当にありがとうございました。これで子どもたちにも喜んでもらえます。こんな遠くまできていただいたのに何もお構いもせずにすみません」

十五分程度で公民館を後にしたけれど女性はいろいろと手土産を持たせてくれた。地元で採れたお野菜や果物。更には佃煮まで。

「こんなにたくさん、頂けません」

「いえ、本当に感謝しているんです。ダメ元で連絡させて頂いてわざわざこんな田舎にまで運んでくださって本当に感謝してもしきれません」

こちらが恐縮するほど、たくさんの手土産をいただき、深々とお辞儀で見送られ、ここまで配達に来て良かったと思った。

そして、机上では数値とのにらめっこが多いけれど、ちゃんと私たちの仕事は役に立っているんだな。

なんて感慨深いことまで感じてしまった。



「よし、じゃあ飯行くか。腹減ったろ?でも向こう戻ってって考えると居酒屋くらいしか開いてねえかもしれないけどな」

「課長、ファミレスにしましょう」

「ファミレス?なんで?」

「とーってもお腹が空きました。おつまみじゃお腹膨れません」

お野菜や果物、食べ物を見てしまったかそれまで感じられなかった空腹感を一気に感じてしまった。

もう気を抜けば、お腹の虫が鳴く。
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