好きだけど、近づかないでくださいっ!
「バカ正直だな、お前。わかったよ。疲れたろ?まだだいぶ時間かかるから着くまで寝てな。着いたら起こしてやっからさ」

ポンポンと頭を撫でられた瞬間、スイッチが入ったようにスキサケが発動。

突然、この場から去りたい気持ちでいっぱいになる。でも、今ここでシートベルトを外し、外に出たとしたら完全なる迷子決定。

とはいえ、この状態でファミレスまで我慢なんて無理。どうしよう、どうすれば。

「か、課長。酔いそうなので後ろの席に行って寝ていてもいいですか?」

「酔う?なら前の方がいいんじゃないのか?」

ヤバイ。課長の言葉遣いも俺様で悪い口調じゃなく、普段の課長の言葉になっている。さっき課長モードになったからだ。

「う、後ろがいいです」

早くどこか路肩に停めて、ここから少しでも距離を取りたい。後ろなら顔も見えないし、ここよりはマシなはず。
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