好きだけど、近づかないでくださいっ!
両肩に乗せられていた手はパッと離され、課長はむすっとしつつその場に座りあぐらをかいた。

少しその温もりがなくなって寂しく感じたのは気のせい?

きっと気のせいだ。そう思って私もそこに座り、那月が淹れてくれたお茶を飲むことにした。

「鈴、さっき課長と話してたんだけどやっぱりこの体質には荒療治が必要だと思うのよ。多分、このままじゃ治らないと思う。だから、課長と付き合うっていうのはどう?」

「つ、付き合う?!」

何を言い出すのかと思ったら那月はとんでもない提案をしてきた。思わず口からお茶をふきだしそうになったし。

「桐島、てめえ人が言おうとしてること、先に言うんじゃねえよ。お前、俺の部屋行ってろ。あっ、音立てんなよ。俺の部屋でいかがわしいことしたらお前の部屋でもやってやるからな」

「そんなこと、するわけないじゃないですか。てかありえないですから。はあ。わかりましたよ。出て行きます」

「ちょ、ちょっと那月、どこ行くの?」

そそくさと出て行こうとする那月を立ち上がり追いかけ、手を掴むもさっと離された。

「荒療治。二人っきりにしてあげるからどうぞご自由に。私は隣で待ってる大吾とDVDでも見てるから。ま、もし万が一襲いかかってきたら蹴飛ばしなさい」

「蹴飛ばすって・・・」

「ま、さすがにそこまではしないわよ。二人で話し合いなさい。じゃあね」

そういい残し、本当に那月は出て行ってしまった。どうしよう。気まずい。しかも変なこと言い残していったし。
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