氷上のプリンセスは



好き?


好きって、誰が?



「リリー僕の目の前にいて今キスした人だけど?思ってることダダ漏れだからねー?」












え………




「はぁ!?」



「随分長い沈黙だったねー。
さっきからそう言ってるじゃん。

じゃなかったら、わざわざ日本語勉強してこの国にくるはずがないでしょ?
ただの友達だったらこんなに何年間も探してないから。」



確かにやっと見つけたとは言ってた。


だから探してくれてたのもわかってた。


でもまさかその理由が私を好きだなんて!!


「まだ信じられない?
それならもう1度キスしようか。
さっきよりも深くてエロいやつ。」



「何言ってんの!?
もうやだやめて!!
わかった!!信じるから!!」



彼は私の腰に腕を回すと再び抱き寄せて迫ってきた。


逃れるために慌てて彼が私のことを好きだ、ということを認めてしまったわけだけど…



「アルが私のことを好きだってことは認める。けど、これ以上関わらないでよ。さっき約束したんだから!!」



「んーどうだろ?
それは保証しかねるよ」



「ちょっと!?約束と違うんだけど!!」


「好きな子に関われないなんて寂しいでしょ。しかも何年もかかってやっと見つけ出した愛しの女の子なんだから。」



愛しの女の子、だなんて言われたら普通の女子は、即効倒れることでしょう。


けど残念。


小さい頃からアルに好き、ずっと一緒だよ、なーんてことを散々言われてきてる私はこのくらいじゃ落ちません。


キスとかスキンシップは別だけどね。



というか、アルの今の話を聞いてみてあの頃の好き、とかって言葉は全部本音だったんだなぁと思った。


完全に聞き流してた。



「じゃ、譲歩してあげるよ。
校内では必要以上に関わらないから。これでどう?」



譲歩?



「なんでアルに譲歩されなきゃなんないのよ。今の流れでは普通私が譲歩してあげる側じゃない!?」



「細かいことはきにしなーい。
じゃ、そゆことで。」



バイバイ



とヒラヒラ手を振りながら彼はさっさと歩いて屋上の扉へと向かっていった。


人にあんなことやこんなことしておいて何なのよ!?


なんて思っていたら扉の前でクルッと振り返って



「最後に1ついい?」



と聞いてきた。



「なに?」



一瞬考えるような素振りをした後すぐに彼は口を開いた。


「リリーを襲った男子とその場にいた女子達って結局どうなったの?」



「……全員退学になったよ。
特に男子は最後までしてないとはいえ正犯罪には違いないから刑務所に送られた。」



「……そっか。
ねぇ、友達を作る気は?」



「ない。」




即答した私に少し悲しげな顔をしたあと、もう1度「そっか。」とつぶやいて



「僕が来たからにはリリーの周りを人でたくさんにしてあげるから覚悟しててね!」



なんてキラキラ笑顔で言うと屋上から今度こそ出ていった。



予鈴2分前。



あぁ…



嵐の予感です…




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