恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
愛華先輩は続けた。

「非常階段での話、知ってるよね?
……私、雪野君が好きなの。あの日彼が抱き締めてた女子がストレートのロングヘアだった気がして……もしかして夏本さん、心当たりないかなー、なんて」

伏し目がちにそう言った愛華先輩は胸の前で不安気に両手を握り締めている。

凄く可愛い人……。

どうしようなんて思いながらも、到底本当の事なんて言えるわけがなかった。

話しているうちに、雪野翔が犬だって事に辿り着いてしまいそうで、話せない。

だからといって『イマカレです』なんて嘘ついて愛華先輩を悲しませるのも嫌だ。

ましてや大勢の女子を敵に回すのも面倒だし怖い。

おまけに雪野翔も怖いし。

やだやだ、どーすりゃいーのー?!
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