恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
心臓が痛いくらい脈打ち、私は愛華先輩を見ていられなくなって眼をそらした。

その時、

「コイツじゃねーよ」

反射的に声のした方を見ると、スラリとした長身の男子生徒が私達がいる反対側のドアから入ってくるところだった。

「雪野君……」

愛華先輩が、ビクッと身体を震わせた。

「佐川。俺の事、詮索すんな」

みるみる愛華先輩の眼に涙が浮かび上がった。

「だって私……」

雪野翔は私達の真横まで歩を進めると、侮蔑の表情で愛華先輩を見た。

「俺の事はほっとけ」

「……ごめんなさい」
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