御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 雪成はおとなしく唇を拭かせた後、ニヤリと笑う。


「落ちないヤツつけてこいよ」
「いいえ、そもそも副社長がこういうことを職場でしなければいいんです」


 美月はさらに念入りに、雪成の唇やスーツに、自分の気配が残っていないか観察する。


「大丈夫です」


 すると雪成は美月が置いたガラスの小皿を手に取り、灰を落としてからまた煙草を唇に挟む。


「……やっぱり秘書にしてるとマズイな。いつも側にいると思うと、手を出したくなる」
「もう……」


 仕事を辞めろを言われては大変なので、美月は後ずさり、メモをポケットから出して読み上げた。


「山邑様から午前中、お電話がありました。『日曜日、十一時に自宅に迎えに行く。必ず参加するように』とのことです」
「ハジメ、ここにかけてきたのか……」


 ハァ、とため息をつき、雪成はゆっくりと煙を吐く。

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