御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
(もうこうなったら野宿……。野宿しか……。)
「おい、森田」
そこでようやく、それまで黙って二人のやりとりを見ていた雪成が口を開いた。
「心配するな、寝室は二つ以上ある。きちんとプライベートは保たれるはずだ」
「え……?」
雪成の言葉に、美月は顔を上げる。
「なんだ、その顔は。まさかベッドが一つしかないと思っていたのか? そんなわけないだろう。ヴィラにはエクストラベッドを含めれば、最大五人まで宿泊できる。資料で見たはずだが?」
「あ……そうでした……」
同じ建物の中ということで頭がいっぱいだったが、二階建てのヴィラの中は広く、寝室も複数あるのである。
(やだ私、一緒の部屋で寝るものとばかり……。)
冷静になれば大騒ぎするほどのことでもなかった。
「やらしーな、お前。俺と寝ること想像してたのか」
「やっ、やらしーって、そんな……!」
だが確かにそういう場面を想像したので、必死になったのだ。しかも【寝るところを想像した】のである。
恥ずかしいことこの上ない。違うと言いたいが、違わないので顔が熱くなった。
雪成はクックッと笑いながら、手を伸ばし美月の頰を片手で挟む。
むにゅっとつかまれて、唇が尖った。