御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「わかりました」
それでも冷静に、美月は雑誌を閉じ、とりあえず壁にかかっている時計を見上げる。
「先に寝ますね。おやすみなさい」
「……おやすみ」
美月の目にじんわりと涙が浮かぶが、タブレットから一度も顔を上げない雪成に、気づかれるはずもない。
(雪成さん、私のこと見てくれない……。)
どんよりとした分厚い雨雲が胸にかかったようだった。
そしてその夜、雪成がベッドの中に入ってきたのは、深夜二時を回った頃で、遅いからといえばそうなのであるが、眠りの浅い美月が目を覚ますと、
「まだ夜中だ」
と、美月の頭を撫でてベッドに入り、目を閉じてしまった。
寝ていないのは気配でわかったが、雪成はなにも言わなかったし、美月を抱いて眠ることもしなかった。
(私のなにが悪いんだろう……。なにをどうしたら、また雪成さんは私の目を見てくれるようになるんだろう。)
悲しくて胸が張り裂けそうだったが、いくら考えてもわからない。