御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 廊下から顔をのぞかせたのは先代の女将で、今は大女将と紹介された年配の女性である。

 手にはお盆を持っており、その上には、品よく盛られた小鉢とご飯、香の物とお味噌汁が乗っている。


「お夕食まだでしょう? どうぞ召し上がってくださいな」
「よろしいんですか? ありがとうございます。実は何か食べてくればよかったって思っていたんです」


 ノートパソコンを閉じて資料をまとめ、下に置く。


「それはいいタイミングだったわねぇ」


 人の良さそうな大女将は、くすくす笑いながらお盆をテーブルの上に置き、お茶を淹れる。


「雪成ぼっちゃんの秘書さんなんですってね」
「はい」


 その口調は優しく、雪成とは長い付き合いを感じさせた。


(品よく着物をきて、可愛らしいおばあちゃんだ。うちのおばあちゃんみたい……。)


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