御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
当然、客商売でお客様のプライベートに関して話すのはご法度である。
みるみるうちに萎れていく大女将を見て、呆然としていた美月は慌てて首を振った。
「あっ、いえ、その、私も、お相手の方は、たぶん存じてるので……大丈夫ですよ!」
とっさに美月はそんなことを口走っていた。
「あら、本当?」
こわごわと顔を上げる大女将に、美月は微笑みかける。
「ええ……学生時代から長く付き合われてて……私も先日、お会いしましたし……」
目の前の景色がグラグラと揺れている。
(雪成さんが結婚するって……社長が言った……?)
畳の上に正座して座っているはずなのに、めまいを起こして倒れそうだった。
「そう、よかった……でも聞かなかったことにしてね。ごめんなさいね」
大女将はホッとしたように胸をなでおろし、部屋を出て行く。