御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 そして少し急いたように、くわえていた煙草の火を消してデスクの上に置く。


(もう、私がガラスの小皿を持って走ることもないのかも……。)


 そんなことを思いながら、美月はドアの前で目を伏せる。


「社長のお供で人形町の料亭に行きました。遅くなりましたので、そのあとはタクシーで直帰しました」
「直帰?」


 低い声だった。

 それからツカツカと靴音が響いて、腕を掴まれる。


「どこにだ」


 明らかにその声には苛立ちがこもっていた。

 当然だろう。朝、美月のスマホには深夜何度も雪成の着信が残っていたが、美月は返事すらしなかったのだ。。


「……自分の家に。痛いです」
「……っ」


 美月の声に、雪成の手の力が緩む。

 その瞬間、つかまれた腕を振りほどいた。


「……お話がそれだけなら、戻ってよろしいでしょうか」



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