御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 聞いてないもなにも、今朝決めたことである。

 もちろん祖母の容態も含めて報告する気はあったのだが、雪成の不満げな口調に、美月は我慢の限界を感じていた。

 だから突っかかるような態度を取ってしまった。


「私用です」
「は?」
「だから……私用です」


 自分で言って驚いたが、自分はどうやら、雪成の“私用”を相当根に持っていたらしい。
 これでは完全に大人気ない、意趣返しである。

 だが雪成は美月のその言葉に目の色を変えた。


「私用……って……まさかあいつに会うのか⁉︎」


(あいつ……って。)


 雪成が美月の地元で“あいつ”呼ばわりする人間などそういない。

 もしかして滉一のことを言っているのだろうかと気づいて、目の前が真っ赤に染まった。
 

「だったらなんなんですか……?」


 会う予定などないが、まさに売り言葉に買い言葉である。


 あのクルージングの日から、ふつふつと抱え続けていたマグマのような怒り、悲しみ、戸惑い、恐れ、嫉妬。

 いろんな感情が胸の奥で渦巻き、爆発しかけていたのだ。

 雪成の発言が、美月の感情の堰を崩してしまった。



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