御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

(もう、いやだ……。)


 このままでは本当に泣いてしまいそうだった。一刻も早くここから立ち去りたい。


 美月は副社長室から出て行こうと後ずさる。


「美月……!」


 その瞬間、ダンッと大きな音が響いた。

 気がつけば雪成が噛みつきそうな顔で美月の顔の横に両手をつき、逃げ場がなくなっていた。


「行かせない……絶対に、あの男のところになんか、帰らせない!」


 手負いの獣のような、燃える熱い目で雪成は叫び、そしてドアに押し付けた美月に噛みつくようなキスをする。


(なんで、なんで、キスするの⁉︎)


 重なる唇からねじ込まれる舌に言葉を奪われる。

 それはキスという名の暴力だった。


「や、め、てっ……自分は黙って菜穂さんと会ってるくせに、どうしてこんなことするんですかっ!」


 美月は両腕で力いっぱい雪成を押し返す。

 突き放された雪成は、雷に打たれたように体を震わせた。


< 194 / 323 >

この作品をシェア

pagetop