御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
(もう、いやだ……。)
このままでは本当に泣いてしまいそうだった。一刻も早くここから立ち去りたい。
美月は副社長室から出て行こうと後ずさる。
「美月……!」
その瞬間、ダンッと大きな音が響いた。
気がつけば雪成が噛みつきそうな顔で美月の顔の横に両手をつき、逃げ場がなくなっていた。
「行かせない……絶対に、あの男のところになんか、帰らせない!」
手負いの獣のような、燃える熱い目で雪成は叫び、そしてドアに押し付けた美月に噛みつくようなキスをする。
(なんで、なんで、キスするの⁉︎)
重なる唇からねじ込まれる舌に言葉を奪われる。
それはキスという名の暴力だった。
「や、め、てっ……自分は黙って菜穂さんと会ってるくせに、どうしてこんなことするんですかっ!」
美月は両腕で力いっぱい雪成を押し返す。
突き放された雪成は、雷に打たれたように体を震わせた。