御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「なっ……それを誰に聞いた! 菜穂のことは誰も知らないはずだぞ⁉︎」
その険しい表情に、美月の心は大きな杭で貫かれたような激しい痛みを覚えた。
“菜穂さんと会っていた”と言ったのは、ただのカンだった。だがこの雪成の態度から、やはり会っていたのだとわかってしまった。
「この後に及んで、やっぱり“菜穂”なんですね……」
「それはっ……」
雪成は何かを言いたげに唇を震わせたが、結局唇を一直線に引き結んで、言い訳一つしなかった。
もう終わりだ。
終わってしまった……。
「ーー私もたまたま知っただけです、誰にも言いませんから……」
大女将から聞いたといえば彼女に迷惑がかかってしまう。
「それと、もういいです。十分です」
「十分?」
美月はギュッと拳を握り、涙をこらえ雪成を見上げた。