御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「副社長、最初に言いましたよね……お腹いっぱいになるまで、優しくしてやるって……だからもう十分だって言います。お腹いっぱいです。今までありがとうございました」
美月の言葉は、決別への意思だった。
確かに半分勢いではあったが、そうしないわけにはいかない。
「違う……違うんだ。頼む、美月、待ってくれ……」
雪成は何か言いたげに、髪をクシャクシャとかき回す。
だが、それでも無言で掴まえようと伸びてくる手から、美月はさっと身をひるがえした。
(違う? わたしを納得させるための言葉一つ、言ってくれないのに……何を信じたらいいの……。)
「失礼します。業務に戻ります」
美月は頭を下げて、そして呆然としている雪成から離れ副社長室を出て行く。
「美月っ……!」
閉じていくドアの向こうから、雪成の声が響く。だが美月は自分の心の窓も、扉も、何もかも、しっかりと鍵をかけた。
ここで傷ついていたら、滉一の二の舞になると、自分をいましめながら……。