御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
雪成との日々を思うと、胸が締め付けられて、やっぱり涙がこぼれそうになる。
だが今は勤務中だ。
グッと唇を噛みしめて、資料を配る手を動かす。
「でも副社長なんて、どれほど周囲に言われてもずっと秘書なしでやってきたから、あんまり困らせられることはないでしょう?」
「はい、仕事上ではとくに」
こくりとうなずいたが、寺前の言葉に引っかかる。
「あの……ずっと秘書がいなかったんですか?」
確かに美月が採用されたとき、前任者はいなかった。
だが、てっきり空白の期間なのだと思っていたのだ。
「ええ、そうよ。副社長が【KOTAKA】で働きだしてからずっといなかったわよ。ちょっとした雑務を私に頼まれることはあったけど、スケジュール管理もご自分でされていたしね」
そして寺前はウフフと笑いながら、美月に耳打ちする。