御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「でも、美月のジュリエットもほんと可愛いかったなぁ……」
「いや、私のジュリエットはおまけだよ、お・ま・け〜」


 投票前から圧倒的人気だったしのぶが、
「美月がジュリエットなら、ロミオをやってもいいよ」
と、ふれ回っていたせいで、選ばれたのだ。

 当然、しのぶのロミオが見たいという女子の組織票で、美月もジュリエットに選ばれたのである。
 とは言え、美月にも懐かしい思い出には違いない。


「そう……投票、男子の二位は滉一くんだったんだよね……」


 ふと、脳内にあの日の放課後が蘇る。


 校舎に差し込む夕日と、グラウンドから聞こえてくる帰宅する生徒の声。

『森田』

 日直で遅くなったところで、同じクラスの学ランの男子から、少しぶっきらぼうに呼び止められて--。


「“本当は一緒に劇に出たかった”って言われて、すごくビックリして……」
「美月……」


 しのぶはジッと伺うように美月を見つめていた。


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