御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
泣き出すのではないかと、思ったのだ。
実際、滉一に一方的に別れを告げられて以降の美月は、何を見ても滉一のことを思い出し、泣いていたから。
「大丈夫だよ」
美月はふふっと笑って、持っていたグラスをテーブルに置いた。
「ねぇ、しのぶちゃん。私ね、滉一くんとちゃんと話そうと思う」
「……えっ⁉︎」
「もちろん、向こうが会いたくないって言うんだったら、会わないけど」
美月は深呼吸をして、きちんと背筋を伸ばし、隣のしのぶに向き合った。
「私、滉一くんにも、しのぶちゃんにも、嘘をついたんだ」
祖母のことがあったついでというわけではない。むしろこの帰省はいい機会だった。
自分のことをいつも気にかけてくれる親友には、自分の気持ちを正直に言わなくてはいけないと決心がついたのだ。
「……一つ嘘をついて、その嘘のために、また嘘をついて……。何が本当で嘘なのか、わからなくなって……」