御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「うん……しのぶちゃんの分は、下りた」


 親友の言葉に、じわりと涙が浮かぶ。


「下りたよ、下りたけど、怒らないの? 雪成さんのこと、恋人だなんて嘘ついたんだよ……?」


 しのぶは、滉一とのことで一番迷惑と心配と負担をかけた親友である。


 食事も取れず、夜も眠れなかった美月のために森田家に泊まり込み、話を聞いてくれた。

時には怒り、なだめたりしながら、美月を助手席に乗せて深夜のドライブに連れて行ってくれた。

 もちろん家族の支えもあったが、しのぶがいなければ美月はまだ立ち直れていなかったに違いないのだ。

 そんな親友に、新しい恋人ができたと嘘をついたのである。

 その時、嘘を受け入れてくれたしのぶに、どう謝っていいかわからなかった。


「自分のことしか考えられなくて、ごめんねっ……」


 自分が泣いては仕方ないのだが、申し訳なくてポロポロと涙がこぼれてしまった。


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