御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

「ただいま」


 靴を脱いでそのままダイニングキッチンへと入ると、父と姉が朝食を食べていた。
 美月の父は公務員で、母は専業主婦、姉は離れでネイルサロンを開業している。家族の仲は良好だ。


「しのぶは帰ったの?」
「うん、仕事があるんだって」


 姉の言葉に頷きながら、なんとなく空腹を覚えて、美月はお椀を取り自分でお味噌汁をよそう。
 

「ご飯食べる?」
「ううん、お味噌汁だけでいい」


 四人テーブルの、姉の隣が美月の指定席だ。手を洗い、いつものように腰を下ろすと、帰ってきたんだ、と唐突に懐かしくなった。


「面会に行けるのはいつ?」
「十一時からよ。お母さんたちも行く予定だから、一緒に行きましょ」
「舞ちゃんは?」
「午前は予約入ってるから、夕方にでも行くわ」


 姉の舞は、父親似で華やかなタイプの美人である。三年前、いきなりOLを辞めてネイル学校に通い始めた時は家族全員驚いたが、今はネイリストとしてそれなりにうまくいっているようだ。

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