御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 腕時計の針は午後一時を指していた。

 美月は祖母が入院している市立病院の屋上のベンチに、一人で座ってぼんやりと空を眺めていた。


(おばあちゃん、私の顔を見て喜んでくれたし、呂律もまわってたし、しゃんとしてたし、想像より元気そうでよかった……。)


 一時間前に見舞いを終えて、家族はすでに帰宅している。

 美月が一人で残ったのは、しのぶから連絡があったからだ。


【市立病院に連れて行くから、屋上で時間つぶしてろ】


 まさか滉一との再会の場所が病院になるとは思わなかったが、しのぶ曰く【木を隠すのなら森の中】らしい。

 確かに街で一番大きな病院なのだから、もし万が一他人に見られたとしても、美月は祖母の見舞いに来ているのだし、なんとでも言い訳はできる。


(私、どこかでこっそり会うことしか考えられなかった。でも逆に、そういうところだと、誰かに見られたら言い訳できないもんね……。)


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