御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
さすがしのぶちゃんだと感心していると、
「美月!」
しのぶの声がした。
振り返ると、屋上の出入り口のドアの前で、しのぶが笑顔で手を振っている。そして彼女の後ろには、神妙な面持ちの滉一が立っていた。
(本当に来てくれたんだ……。)
美月もベンチから立ち上がって手を振った。
「ここいいだろ。見晴らしいいし、風もよく吹くしさ。前、バイクで事故って入院したときに、ここでいっつも時間潰してたんだ」
「そういえば、そんなこともあったね……」
しのぶが交通事故にあったのは大学生の頃である。美月は当時のことを思い出して、身震いした。
「私より美月のほうがめっちゃ泣いて動揺してたよな」
「肋骨に足の骨まで折ってるのにケロッとしてるしのぶちゃんが変なんだよっ!」
美月は思わずしのぶの腕のあたりをバシッと叩いていた。
「あー、はいはい。ごめんごめん」
「全然悪いと思ってないし……」
事故の後も相変わらずしのぶはバイクに乗っている。
自分に止める権利はないのだが、心配なことは変わらない。