御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
「ありがとう。でも仕事中に会うとは思わなかったから、全然心の準備出来なかったんだ。ほんと、ひっくり返りそうになっちゃったよ」
美月があははと笑うと、しのぶは複雑そうな表情で口をへの字にする。
「クソコーイチ、あいつにはもはや嫌悪感しかねぇ。毎日地獄に落ちろって思ってる」
「しのぶちゃん……」
滉一に振られてから二ヶ月、美月は生きる屍だった。
当時、税理士事務所で事務員をしていたのだが、日に日にやせ細っていく美月を見て、所長も同僚もずいぶん気を揉んでいた。
なにしろ小さな街である。八年も付き合っていた滉一のことを、美月の周りの人間は大抵知っているのである。
「でもさ、しょうがないよ」
「美月……」
「私がもっと魅力的だったら……って思うけど」