御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 また昨日のように、予想もしないところで知るほうがどう考えても辛いのである。


「……わかった」


 しのぶは氷の入った水をゴクリと飲んで、決心した強い眼差しで口を開いた。


「翠子(みどりこ)だよ」
「……えっ。翠子って、加藤さん?」


 想像もしていなかった名前に、美月は凍りついた。


 加藤翠子は美月やしのぶと同級生である。
 もともと地主の一族で、不動産しかり、手広く商売をしている、地元なら誰でも知っている家の娘だった。

 美人で明るく、成績も優秀。ラクロス部に所属し、クラスも違う美月でも彼女の存在は知っていた。

 だが高校を卒業後に上京したと風の噂で聞いて、それっきりだったのだ。



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