御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~

 そしてそのまま、まるで子供のように「あー……」とうなっている。どうやらよっぽど凹んでいるらしい。


「その……私が言うのもなんですけど、あまり気にしないで……」


 雪成の頭を撫でると、洗いざらしの黒髪がさらさらと指の間をすり抜ける。


(髪、サラサラだ……。)


 美月の知っている雪成は、こんな男ではなかった。
 いつも余裕があって、大人の魅力を振りまいて、秘書として働いて、たった三ヶ月ではあるが、雲の上の人だと思っていた。

 その大人の男であるはずの雪成が、本気で悔しがっている。


(変なの……。だってこれは、ごっこ遊びでしょう? 副社長は私のこと可愛がりたいとかいうけど、それってはっきり言えば、気まぐれとか、そういうので……。)


 拾ったノラ猫を可愛がるようなものだと、思っていた。

 だがこれではまるで、恋をしているみたいではないか。



< 73 / 323 >

この作品をシェア

pagetop