御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
そしてそのまま、まるで子供のように「あー……」とうなっている。どうやらよっぽど凹んでいるらしい。
「その……私が言うのもなんですけど、あまり気にしないで……」
雪成の頭を撫でると、洗いざらしの黒髪がさらさらと指の間をすり抜ける。
(髪、サラサラだ……。)
美月の知っている雪成は、こんな男ではなかった。
いつも余裕があって、大人の魅力を振りまいて、秘書として働いて、たった三ヶ月ではあるが、雲の上の人だと思っていた。
その大人の男であるはずの雪成が、本気で悔しがっている。
(変なの……。だってこれは、ごっこ遊びでしょう? 副社長は私のこと可愛がりたいとかいうけど、それってはっきり言えば、気まぐれとか、そういうので……。)
拾ったノラ猫を可愛がるようなものだと、思っていた。
だがこれではまるで、恋をしているみたいではないか。