永すぎた春に終止符を
―梨沙ちゃん!ビール!!
会場のどこからか、声がかかった。梨沙は、声がした方に行くため、立ち上がろうとすると、
「いいから、安田君の相手をしてて。私が行くから…」と、幾美さんがゆっくり飲んでてと言ってくれた。
「そんな…」
安田さんが、梨沙の腕を引っ張る。
「牧山さん、もうしばらくここにいたらいい。君に話しかけたくて、話しかける機会を狙ってるのが、後二人はいるから」
「何ですか?それ…」
私が、辺りを見回しながらキョロキョロしてるのを見て、
安田さんが、楽しそうに話す。
彼が、耳打ちするように、梨沙に近づいた。
「前に、給湯室で原田さんと話してたこと、聞いちゃったんだ。だから、君が今、フリーだって知ってる」
「安田さん、急に、何を言い出すんですか」
「前にほら…会社の行事にやたら男前の彼氏連れて来て、仲がいいところ見せつけられてたから、それ以来、声かけられなかった」
「安田さん、あの…」
「別れたって言うのは、その人?」
「はい…」
「そっか大変だったね…でも、よかった」
「よかったって、人の不幸を喜んでませんか?」彼は、ほとんど気付かれない程度に笑った。
「そうだね。普通なら、不謹慎だね。でも、今回は違うんだ。俺にとってはチャンスだから」