永すぎた春に終止符を
「安田、飲んでるかーっ!」
誰だか名前は思い出せないけど、同じ企画課の人が、すでに酔ってしまって、安田さんに抱きついてビールを飲めと絡んでいる。
「安田、何でお前が、牧山さん独り占めしてるんだ」
ええっ?私?
「井村さん、今、ちょうど俺、彼女口説いてるところですから、そっとしておいてください」
井村さんは、大声で笑って、
「牧山さんは、イ、イケメン好きだからお前には無理だ」
「井村さん、ビール注ぎましょうか?」
私が、話を中断した。
「おおーっ、いいな。美女が相手してくれるって」
「美女じゃありませんから、残念ですけど」
「十分きれいだよ。俺には…」
安田さんが、私にだけ聞こえるように言う。
「安田さん?」
しっかり、聞こえてますけど…
「君を振るなんて、本当に馬鹿なやつ」
あの…聞かせるつもりで言ってるんですか?
「おおおーっ、梨沙ちゃんこぼれる!」
井村さんのコップから、テーブルにビールが溢れてる。
「ごめんなさい」
その辺にあったおしぼりじゃ、とても足りない。
「おしぼり取ってきます」
私は、立ち上がった。