永すぎた春に終止符を


席に戻ると、安田さんの回りに人が集まっていた。こぼれたビールは、梨沙が布巾を取りに行ってる間にきれいに片付けられてた。


梨沙の座ってた席に、何人か企画課の女の子が集まっていて、安田さんの世話を焼こうとお絞り片手に機会をうかがってる。ビールをこぼされた井村さんは、特に被害は無さそうだけど、女の子達からはほとんど無視されている。

安田さんの隣はずっと空きそうにない。輪の中に入るのは諦めて、別の席を探そうと思った。
私は、バッグを取るために、彼女らにごめんねと、言って後ろから近づいた。


席に座ってる女の子は、振り向いて言う。

「すみません、ここ牧山さんの席だったんですか?」
知ってて座ってるくせに。言葉は柔らかいけど、目では、梨沙のことをライバルかどうか見極めようと、観察するために冷たい視線を浴びせてる。

巻き込まれないように、笑顔でいう。

「いいよ。私が移動するから…」
席取ったりしないから、安心して。

よかった気づいて…邪魔だったのね、私。
安田さんは、数少ないまともな独身男性だ。


「席変わってもらって、すみません」
急に表情が緩み、猫なで声で言われた。

「いいよ、気にしないで」

私は、安田さんに軽く挨拶すると、隅でポツンと飲んでる安田さんの横に座った。

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