常務の秘密が知りたくて…
「でも恋人同士だったこともあるんでしょ?」
発言してすぐに後悔した。予想通り常務の眉間に皺が刻まれる。さっきまでの雰囲気が一転して重たいものになり堪らなくなって取り繕おうとするも、どうすればいいのかわからない。
「すみません。あのどこまで本当かわからないですけど、常務の話は色々と耳に入ってきていたので」
どういう内容かまではさすがに言えなかったが、ただの噂話をこんな風に本人にぶつけてしまうのはなんとも失礼な話だ。
「そういうのもいたかもな。でも色々ありすぎて、もう忘れた」
その一言が胸に刺さり抉られるように痛む。それが何故なのかはわからないけど、泣きそうになった。
常務の声には悲しみも悪びれた様子は全くない。噂通り常務の女性遍歴はあまりいいものでもないらしい。でもそれを聞いて怒りよりも何故か悲しみの方が強く私の心を覆っていく。そんな私におかまいなく常務は吐き捨てた。
「いちいち覚えてられるかよ」
さっきは生まれる前から覚えている、なんて言ってたくせに。いつもならそう言い返すのに今はそれも出来ない。なんだか心の中に大きな石を投げ込まれたように波紋が広がって落ち着かない。乱されていく。
こうして私と一緒に過ごしていることも、私のことも、同じように忘れられてしまうんだろうか。色々訊いてくれたのも、私が秘書でなくなったらどうでもいいことなんだろうか。
「無駄な出会いなんてないと思います。忘れてしまっても、どんな別れ方をしても。そこに意味を見出せるかは自分次第ですから」
自然と口から出た言葉に私は戸惑った。どうしてこんなことを言っているのか。今までの彼女たちに同情して? 自分のこれからを案じて? それでも言わずにはいられなかった。
発言してすぐに後悔した。予想通り常務の眉間に皺が刻まれる。さっきまでの雰囲気が一転して重たいものになり堪らなくなって取り繕おうとするも、どうすればいいのかわからない。
「すみません。あのどこまで本当かわからないですけど、常務の話は色々と耳に入ってきていたので」
どういう内容かまではさすがに言えなかったが、ただの噂話をこんな風に本人にぶつけてしまうのはなんとも失礼な話だ。
「そういうのもいたかもな。でも色々ありすぎて、もう忘れた」
その一言が胸に刺さり抉られるように痛む。それが何故なのかはわからないけど、泣きそうになった。
常務の声には悲しみも悪びれた様子は全くない。噂通り常務の女性遍歴はあまりいいものでもないらしい。でもそれを聞いて怒りよりも何故か悲しみの方が強く私の心を覆っていく。そんな私におかまいなく常務は吐き捨てた。
「いちいち覚えてられるかよ」
さっきは生まれる前から覚えている、なんて言ってたくせに。いつもならそう言い返すのに今はそれも出来ない。なんだか心の中に大きな石を投げ込まれたように波紋が広がって落ち着かない。乱されていく。
こうして私と一緒に過ごしていることも、私のことも、同じように忘れられてしまうんだろうか。色々訊いてくれたのも、私が秘書でなくなったらどうでもいいことなんだろうか。
「無駄な出会いなんてないと思います。忘れてしまっても、どんな別れ方をしても。そこに意味を見出せるかは自分次第ですから」
自然と口から出た言葉に私は戸惑った。どうしてこんなことを言っているのか。今までの彼女たちに同情して? 自分のこれからを案じて? それでも言わずにはいられなかった。