常務の秘密が知りたくて…
「安い命だなんて。貴方に何かあったら多くの人が悲しむわ。国王陛下や女王陛下、王女はもちろん、民もみんな貴方の活躍を知っている。同じ騎士団の人たちだって……」

 俯いているエリスにため息をつきながら近付いた。いちいち大袈裟すぎる。

「覚悟の話だろ」

「それでも、そんなこと言わないで欲しい。私もカイルに何かあったら悲しいし絶対に泣いてしまう」

 そんな風に話すエリスは本当に今にも泣き出しそうだった。女が泣くのは見慣れている。でもこういうときどうすればいいのかわからない。

「悪かった」

 とりあえず自分の肩よりも低い位置にあるエリスの頭に手を置いてみる。何故俺が謝らなければならないのか。何故エリスは他人のことでそこまで必死になるのか。

「もう言わない?」

「……恐らく」

 約束は出来ない。でもエリスはその答えに満足したのか、ゆっくり上げた顔には悲しそうな色は消えていた。

「余計な話をしたな」

「そんなことない! 私、カイルの話が聞けて嬉しかった。話してくれてありがとう」

 目を細めるエリスに俺も気になっていたことを口にした。

「お前こそ、どうしてそこまでする?」

「私?」

 今度は俺の質問に対してエリスが不思議そうな顔をした。

「家が代々王家に仕えているのもあるんだろうが、それにしてもここまでするか?」

 エリスの手は相変わらず荒れていて、小さな傷がいくつもあった。
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