常務の秘密が知りたくて…
不思議そうにこちらを見ているエリスと目が合う。気が付けば俺はエリスの右手をとっていた。その手はやはり生傷がいくつかあって、痛々しい。それでも華奢で柔らかい女の手だった。ほぼ無意識に膝を折って腰を落としその甲に口付ける。
「何してるの?! やめて!」
悲鳴のようなエリスの声で我に返る。見上げれば顔を真っ赤にして今にも泣きそうなエリスと目が合った。
「き、騎士団の隊長が、そんな簡単に膝を折ったらダメでしょ!」
「そういう問題か?」
「とにかく離れて! 私の手、汚いから」
「これでも敬意を払っているんだ。女の身でありながら必死に剣を持とうとしているお前に」
「いいから、やめて!」
掴んでいた力を緩めるとエリスは素早く手を引っ込めた。
「からかわなくてもいいのに。どうせ私の手は女性らしくないですよ」
「そんなことは言ってないだろ」
「でもいいの。これは私の望んだことだから」
その声は不貞腐れているわけでもなくどこか優しい。からかうつもりなんて微塵もなかったし、汚いなんて思うわけもない。
ただ愛おしかった。傷を作りながらも大事なものを必死で守ろうとするあの手が、エリス自身が。
「それにしてもカイルは私のことを名前で呼んでくれないのね」
右手の甲に左手を重ねながら、恨めしそうにエリスが呟いた。
「そうか?」
「そうよ! 人には名前で呼べとか、敬語はいらないとか言っておきながら」
先程の照れもあるのか、エリスはこちらを見ようともしない。
「必要性に迫られたら呼ぶだろ」
「それっていつ?」
「さあな?」
言われてみれば、俺はエリスに向かって名前を呼んだことはなかった。特段、意識したわけではないが逆に指摘されると今更ながらに呼びづらい。
「いいわ。別に無理してもらうことでもないし」
俺の考えを察したのかエリスは苦笑いしながら答えた。
「何してるの?! やめて!」
悲鳴のようなエリスの声で我に返る。見上げれば顔を真っ赤にして今にも泣きそうなエリスと目が合った。
「き、騎士団の隊長が、そんな簡単に膝を折ったらダメでしょ!」
「そういう問題か?」
「とにかく離れて! 私の手、汚いから」
「これでも敬意を払っているんだ。女の身でありながら必死に剣を持とうとしているお前に」
「いいから、やめて!」
掴んでいた力を緩めるとエリスは素早く手を引っ込めた。
「からかわなくてもいいのに。どうせ私の手は女性らしくないですよ」
「そんなことは言ってないだろ」
「でもいいの。これは私の望んだことだから」
その声は不貞腐れているわけでもなくどこか優しい。からかうつもりなんて微塵もなかったし、汚いなんて思うわけもない。
ただ愛おしかった。傷を作りながらも大事なものを必死で守ろうとするあの手が、エリス自身が。
「それにしてもカイルは私のことを名前で呼んでくれないのね」
右手の甲に左手を重ねながら、恨めしそうにエリスが呟いた。
「そうか?」
「そうよ! 人には名前で呼べとか、敬語はいらないとか言っておきながら」
先程の照れもあるのか、エリスはこちらを見ようともしない。
「必要性に迫られたら呼ぶだろ」
「それっていつ?」
「さあな?」
言われてみれば、俺はエリスに向かって名前を呼んだことはなかった。特段、意識したわけではないが逆に指摘されると今更ながらに呼びづらい。
「いいわ。別に無理してもらうことでもないし」
俺の考えを察したのかエリスは苦笑いしながら答えた。