常務の秘密が知りたくて…
受付の制止を無視して役員室のドアを勢いよく開けると机を挟んで向かい合わせに座っている二人がこちらを向いたのはほぼ同時だった。
「常務!?」
信じられないという顔をしている彼女とは対照的に堀田は相変わらず不快な笑みを浮かべている。
「なんだよ、長丘。わざわざ口出しに来たのか? それとも彼女を差し出すからって改めて頼みにでも来たのか?」
それを無視して彼女のもとに歩み寄ると腕を掴んで強引に立たせる。思ったよりも華奢な身体はあっさりと持ち上がった。
「おい、長丘!」
状況が飲み込めない彼女の手を引いたところで、堀田が顔を赤くして叫んだ。その顔に余裕はなく、笑みも浮かんでいない。俺は改めて顔だけそちらに向き直る。
「例の共同開発中の件について邪魔したいなら好きにしろ。でもこいつは俺の秘書だ。誰にも渡さない」
狐につつまれたような顔をしている堀田から顔を逸らしてドアに向かう。壁際に立っていた秘書が複雑そうにこちらを見ていたがなんの感情も浮かばなかった。
とにかく一刻も早くこの場を後にしたくて、俺は彼女の手を引いたまま早足に外に出ると門前で待機してもらっていたタクシーの後部座席に乗り込んだ。もちろん有無を言わさず彼女も一緒に。
「あの常務」
「話は会社に戻ってから聞く」
躊躇いがちに口を開いた彼女の言葉を遮って車内は重い沈黙に包まれる。わざとらしく窓の外に視線を遣ると今更ながらどっと疲れが押し寄せてきた。心臓がいつもより煩い。それでも隣に座っている彼女の手を離すことだけは出来なかった。
「常務!?」
信じられないという顔をしている彼女とは対照的に堀田は相変わらず不快な笑みを浮かべている。
「なんだよ、長丘。わざわざ口出しに来たのか? それとも彼女を差し出すからって改めて頼みにでも来たのか?」
それを無視して彼女のもとに歩み寄ると腕を掴んで強引に立たせる。思ったよりも華奢な身体はあっさりと持ち上がった。
「おい、長丘!」
状況が飲み込めない彼女の手を引いたところで、堀田が顔を赤くして叫んだ。その顔に余裕はなく、笑みも浮かんでいない。俺は改めて顔だけそちらに向き直る。
「例の共同開発中の件について邪魔したいなら好きにしろ。でもこいつは俺の秘書だ。誰にも渡さない」
狐につつまれたような顔をしている堀田から顔を逸らしてドアに向かう。壁際に立っていた秘書が複雑そうにこちらを見ていたがなんの感情も浮かばなかった。
とにかく一刻も早くこの場を後にしたくて、俺は彼女の手を引いたまま早足に外に出ると門前で待機してもらっていたタクシーの後部座席に乗り込んだ。もちろん有無を言わさず彼女も一緒に。
「あの常務」
「話は会社に戻ってから聞く」
躊躇いがちに口を開いた彼女の言葉を遮って車内は重い沈黙に包まれる。わざとらしく窓の外に視線を遣ると今更ながらどっと疲れが押し寄せてきた。心臓がいつもより煩い。それでも隣に座っている彼女の手を離すことだけは出来なかった。