リーダー・ウォーク

本日の予定。
朝早くに井上さんにチワ丸ちゃんを返したら昼過ぎまで犬猫イベントに
どっぷりと参加。チラシをチェックして買いたいものリストを握りしめて。
気分は遠足。いや、都会への修学旅行?とにかく興奮しているのは確か。


「昨日は突然預かって頂いてすみませんでした」
「いえいえ。仕事でもあるし、ここはもうチワ丸ちゃんの別荘みたいなものだし」
「崇央様もギリギリまでどうするか悩んでいたようで」
「そうですよね。チワ丸ちゃんが側に居ないと寂しいだろうな」

約束した時間の5分前にはマンションの入り口で待機していたので
稟がキャリーにチワ丸を入れて降りて行き井上に引き渡す。

「あと、上総様からこれをお預かりして来ました」
「何でしょ」
「これを受付に見せると良いことが色々とあるそうですよ?イベント等も並ばなくて良くなるそうです」
「何をしたんですか上総さん…」
「昨日付き合ってもらったお礼、とおっしゃっていましたね」

ただでさえ優先的にイベントを見せてもらえるお得なチケットだったのに、
井上に渡されたのはそれ以上の高待遇を受ける謎チケット。
協賛しているスポンサーの力?それとも松宮家の圧力?使うのがちょっと怖い。

「ありがとうございますと伝えてください」
「ドームを貸しきっての盛大なイベントと聞きました。人も多いでしょうから
気をつけて行ってきてください、何かあれば連絡頂けたらすぐ伺います」
「大丈夫ですよ。このチケットあれば…なんでも出来る気がする」
「それではこれで」
「はい。お疲れ様です」

コレ以上の待遇を求めたらバチが当たりそう。
少しの間だけだろうけど、チワ丸に別れを告げて稟は一旦部屋に戻り。
出陣するために着替えを済ませポーチには魔法のチケットを2枚装備。


会場へは歩きと電車とバスで1時間。

結構な長旅でもチラシを見て想像を膨らませたらあっという間に到着した。

会場入口でハラハラしながら両方のチケットを受付のお姉さんに渡す。

「ああ、これは松宮様の!」
「どうぞどうぞコチラからお入りください!」
「あ、あの。えっと私は」
「ささ!どうぞ!」
「……は、はい」

なに?

松宮様の、なに!?






「えらくご機嫌ですね、兄さん」
「今頃イベントを楽しんでくれているかなぁと思ってね」
「彼女ですか」
「運営元はよく知っているから彼女に楽しんで貰えるようにたのんでおいたんだ」
「のんきなものですね」
「彼女はとても良い子だし、期待通りの働きをしてくれているしね」
「……」

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