リーダー・ウォーク

「よし。これで万全と」
「んっーーー!んーーー!」
「しょうがないだろ。ちょっと触っただけで絶叫されたら耳痛いし」

だからってタオルでしばって口覆うって酷くないですか?
これじゃ無理やりされるみたい。
それにこれを付けたらからってくすぐったくなくなるわけじゃないから。

「んんーーーーー!」
「……これはマジでもう挿れるか」
「ん?んんん!?」

貴方が無理に私の体を隅々まで触ろうとしなかったらいいんじゃないですか。
過剰なくらい触られるのに弱い私もよくないと思いますけども。涙目になりながら
体をよじらせながら、彼氏を蹴り飛ばしながら。
私の甘いはずだった初めてが簡略化されて悲鳴混じりに終わってしまう。


「慣れって大事だからさ。これからは出来るだけあんたに触れてる」
「下手をしたら漏らすかもしれないけどいいですか」
「いいよ。そうなったら一緒にシャワー浴びてそこでも触るから」
「……」
「ああ。そうか。最初から風呂に居れば何があっても大丈夫だな」

タオルを投げ捨てもうなにもするなと言い聞かせただ彼に抱きしめられて眠る。
そこそこ良いスポーツをやったくらいの汗だくなのは主に私が絶叫したからだ。
慣れるためとはいえ、そう毎回くすぐられたら死んでしまう。

「チワ丸ちゃんそろそろでしょうかね」
「俺が迎えに行くからあんたは休んでていいよ。疲れたろ」
「私チワちゃんとリビングで寝てもいいですか」
「何か飲み物買ってきてやるから。大人しくしてろよ」

人の話は完全無視で頭にキスをして彼は部屋を出ていった。
チワ丸が戻ってきたら流石にもう仕掛けてはこないだろうから安心。
楽しいとか気持ちいいとか以上にくすぐったくてダメだ。

これはまた大きな障害かもしれない。

私としては極力やりたくないけど、あの人は好きそうだものな。
戻ってくる前にシャワーを浴びておこうと少し間を置いて私も起き上がる。
着替えをかき集めタオルを持ってもう一度シャワーへ。
何もかも上手くいっているはずなのに、こんなはずじゃなかった。



「チワ丸。ひとりにしてごめんな。でも、同じ男ならわかるだろ?そうかそうか。お前は賢いな」
「オスですけどね」
「そう言うなよチワ丸は」
「いえ。貴方がオスなんです」
「俺か」
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