リーダー・ウォーク

今日はトリミング予約も多くないし、お店の掃除をして子犬の世話をして。
気持ちはもう夜の飲み会。というよりも、お酒のこと。何を飲もうか考えて。
ついでにおつまみのことも考えて。

『飲み過ぎ注意。よそ見注意。終わったらすぐメール。忘れたら極刑』

携帯に入っていたこんな脅しメールを確認して、見なかったことにした。

「吉野さん車ナシでしょ?乗せてくから」
「ありがとうございます」
「私は運転だから飲めないけど、吉野さんはじゃんじゃん飲んじゃえ」
「ははは。楽しみです」

定時を迎え、お店をしめて。お店のみんなと居酒屋へ移動。
店長は最初の飲み会だけ参加して二次会には当然行かないとのこと。
二次会からは先輩が用意したイケメンさんが登場らしいのだが、
稟もそれには参加しない。というか、出来ない。

なにせ連絡が遅れたら極刑。死刑じゃないのは彼なりの温情なんだろうか?

「所で後で来る人ってどんな人なんですか?」
「お。食いついてきたな飯田ちゃん」
「だって気になるじゃないですか。先輩、イケメンだってすっごい強調するから」
「まあまあ。楽しみはとっとくのがいいって。でもびっくりするからね」
「まさかモデルとか!アイドル…?」
「流石にそういうイケメンじゃないんだけど」
「ですよね」

予約したお座敷にあがってみんなでわいわいとメニューを見て注文をして
待っている間に仕事の愚痴やら私生活の話やら。やはりみんな女子なので
おしゃべりをしだすと止まらないというか、話題にはことかかない。
店長も仕事の時は厳しいけれど、そうでない時は気さくに会話が出来る。

「吉野さんも結構たつでしょ上京してきて」
「はい。でもまだ迷ったりするんですよね」
「いい人は出来そう?それとも地元に彼氏が居るとかー?」
「彼氏ですか」

居るのは居るんですけど、ここで名前を言うのは憚られる。

「吉野さんは堅実そうだから、…そうだな。公務員の彼氏とか」
「あーわかります。吉野さん真面目だし、優しくて静かな人とかね」
「そうですね。そういう人って憧れます」

公務員じゃないし全然静かじゃないけど、優しいのはまあ優しいかな。

極刑とか付き合わないと脅すとか普通にするけど。

あれ

優しいかな??


「……」
「……」
「……、…何か?」
「い、え。あの。……もしかして。…もしかすると」
「何ですか」

< 78 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop